サプリメントの効果と害

ローヤルゼリーにはどんな効果があるか?

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 ローヤルゼリーは、サプリメントの中でもよく使われるもののようです。いかにも効果がありそうな宣伝がなされていますが、実際に効果は検証されているのでしょうか。調べてみました。

 

意外にも研究が少ない

 

 これほど普及しているわりに医学論文は少なく、質の高い臨床研究はほとんど見つかりませんでした。PubMed Clinical Queriesでは、このような結果でした。

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 Therapy/Narrowで検索し、Humansの絞り込みをしていますが、たった8件のみ。

 このうち、効果の検証に使えそうなものは、認知症の研究のみでした。とりあえず、読んでみることにします。

ランダム化比較試験(Yakoot、2014年)*1

  • P▶ 軽度認知機能障害の人に
  • E▶ サプリメント Memo®(凍結乾燥したローヤルゼリー750 mg含有)*2 を1日1回4週間投与すると
  • C▶ プラセボ4週間投与に比べて
  • O▶ 認知機能スコアMMSE *3 は改善するか
  • T▶ 治療、ランダム化比較試験

《結果》※※

 ランダム割り付けした66人のうち、各群3人ずつが脱落しており、理由不明と記載されている。二重盲検。

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 Memo群では4週間でMMSE 2.067点改善したのに対し、プラセボ群では0.133点という結果で、統計学的には有意差がみられた。

 

 小規模研究であるにも関わらず、理由の記載がない脱落が1割みられており、信頼性は低い研究であると言わざるを得ません。結果がくつがえる程度の脱落と考えられるからです。(意図的な脱落も疑われます。)

 

 4週間の投与で、両群の差は30点満点のMMSEで1.9点という結果でした。統計学的には有意とのことですが、この差をどうとらえるかが決め手になるでしょう。

 

 アルツハイマー病については、コリンエステラーゼ阻害剤でもMMSEでは1~2点程度の改善が見込まれる程度の効果であることが、過去の研究から示されています。

 こちらをご参照ください。

アルツハイマー病(クロニクル) - 地域医療日誌

 

 たった4週間のサプリメント投与で、それも軽度認知機能障害の人に対して、治療薬と同等の効果が得られるとしたら、かなりいい結果なのですが。

 

差があるといえるのか?

 

 それでは、MMSEではどの程度の差があれば、臨床的に意味のある差といえるのでしょうか?

 研究によっては、臨床的に有意な最少変化量(minimal clinically important difference; MCID)があらかじめ定義されていることもあります。本研究では、そのような記載はありませんでした。

 

 MMSEのMCIDについて、認知症に関する他の研究ではどの程度になっているのでしょうか?Burbackらのレビュー *4 によると、以下のように記載されています。

The mean survey MCID for the MMSE was 3.72 (95% confidence interval 3.50-3.95) points.

 

 MMSEでは3点以上の差がないと、臨床的に差があるとは判定できないものかもしれません。これを参考にすると、MMSEでの1.9点差を効果あり、と判断することは難しいかもしれません。

 

 発症や死亡(真のアウトカム)ではなく、スコアをアウトカム指標とすること(代用のアウトカム)の問題点が見え隠れします。特に認知症に関する研究では、何を評価しようとしているのか、注意して結果を解釈する必要があるでしょう。

 

ローヤルゼリーにはどんな効果があるか?

  • 効果を検証した医学論文自体が少ない。
  • 軽度認知機能障害の人に認知機能改善がみられたとするランダム化比較試験がひとつあるが、その差は小さい。

 

*1:Yakoot M, Salem A, Helmy S. Effect of Memo®, a natural formula combination, on Mini-Mental State Examination scores in patients with mild cognitive impairment. Clin Interv Aging. 2013;8:975-81. doi: 10.2147/CIA.S44777. Epub 2013 Jul 24. PubMed PMID: 23950642; PubMed Central PMCID: PMC3740822.

*2:他にG. biloba(イチョウ)120 mg、P. ginseng(オタネニンジン)150 mgを含有

*3:Mini-Mental State Examination、30点満点でスコアが低いほうが認知機能が低い

*4:Burback D, Molnar FJ, St John P, Man-Son-Hing M. Key methodological features of randomized controlled trials of Alzheimer's disease therapy. Minimal clinically important difference, sample size and trial duration. Dement Geriatr Cogn Disord. 1999 Nov-Dec;10(6):534-40. PubMed PMID: 10559571.